ロウソク1つ、ペルチェ素子1枚でどれだけの電圧が出るか測定します。
ロウソクでペルチェ素子の片面に付けているヒートシンクを加熱します。
すると電圧が徐々に上がってきました。
約0.63Vにまで上昇しました。
しかしここからは頭打ちです。
ペルチェ素子のもう片面の放熱用ヒートシンクは触ると火傷しそうなくらいの温度になっています。
強制空冷や水冷にすればもっと電圧は上がるのでしょうが、それでは装置が複雑になってしまいます。
ロウソク1つと自然冷却で得られる電圧は約0.6Vということにします。
後に分かることなのですが、この0.6Vというのがなかなか微妙な数値なのです。
今、この0.6Vだけを考えると、何も光らせたり動かしたりすることはできません。
おそらく電子オルゴールも鳴らないでしょう。
LEDを光らせるには0.6Vを直列につなげば可能かも知れません。
3つでは1.8Vにしかならないので、最低4つ必要です。
4つで2.4Vです。
赤色LEDが点灯します。
豆電球は電流不足で光らないでしょう。
ロウソク1つとペルチェ素子4枚で赤色LEDがやっと点灯するというのは、あまりにももったいなさ過ぎます。
そもそも5V出力が得られなければ携帯やスマートフォンなどを充電することができません。
5V出力を得ようとすればペルチェ素子が9枚も必要になります。
ペルチェ素子が1枚1500円としても9枚で13500円になります。
高すぎです。
太陽電池とリチウムイオン電池の組み合わせの方が遙かに経済的です。
ということは他にもっとやり方があるはず・・・・。
そこでひらめきました。
そう、昇圧回路の利用です。
降圧回路は電圧を下げるので比較的簡単です。
昇圧回路はちょっとやっかいです。
低電圧を昇圧する場合は特にです。
昇圧回路の場合は必ず発振させなくてはなりません。
つまり、直流をいったん交流に変えて昇圧し、再び直流に変えることで高電圧を得ています。
最後に交流から直流に変えない場合もあります。
以前は専用のICなどほとんどなく、あっても高価で扱いにくいものでした。
外付け部品も多く、最低動作電圧も0.6Vでは話にならないものばかりでした。
しかし秋月電子から1.5V電源で白色LEDを点灯させるキットが発売されてから私の世界が変わり始めたのです。
これはタイマーIC555を利用するものなので電源は1.5V以上必要になります。
しかし1.5Vから使えるというのは衝撃的でした。
もっと小さい電圧から使えるものはないか調べていたところ、ブロッキング回路に行き着きました。
とても簡単な構造で、トランジスタ、抵抗、コイルがそれぞれ一つずつだけで構成されています。
コイルは手巻きです。
フェライトコアを買ってきて導線を巻いていきます。
この巻き方にポイントがあります。
コイルとトランジスタと抵抗と赤色LEDをつなぎ、1.5Vの電池につなぐとLEDが光りました。
感動です。
これだけでは秋月のLEDキットと同じです。
この回路が凄いのは、1.5Vよりも低い電圧でLEDが点灯することです。
トランジスタが動作すればいいのですから、0.6Vくらいから使えるのです。
素晴らしい!
ペルチェ素子発電にぴったりではないですか!
正確には0.6Vだけだと厳しいです。
一度発振してしまえば0.6Vにまで電圧が下がっても発振は続くということです。
ではこの手作り昇圧回路をペルチェ素子につないでみます。
どうですか?
LEDがちゃんと光っています。
しかも白色LEDまで。
写真の回路は赤色LED用と白色LED用の2回路分つながっています。
白色LEDは約3.6V必要ですので、この段階で、0.6Vから3.6Vにまで昇圧されていることが分かります。
ただ、この回路は出力が交流のまま使っていて、さらにLEDにつないでいるのでもっと高電圧が出力されているはずです。
なかなか面白いですね。
しかしこの昇圧回路は効率が悪すぎます。
入力電流が凄まじく多かったように記憶しています。
このままでは使えません。
もっと安定して高効率なものにする必要があります。
しかし、とりあえず昇圧回路を組み合わせることで、ロウソク発電がグンと現実味を帯びてきたのでした。
次回、昇圧回路を選ぶ
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