微速で駆動させるには、今までの常識ではステッピングモーターを使うのが当たり前とされていました。私もそう思っていました。
ステッピングモーターはパルスの信号によって動きます。正転、逆転も出来ます。駆動速度も変えられます。止まっていても常に静止トルクが働きます。
私がこのモーターを知ったのは、天体望遠鏡の架台からです。天体写真を撮るときや、高倍率にして観察するときには、地球の自転によって天体が視野から外れていってしまいます。それを防ぐために望遠鏡を動かしていかなくてはなりません。手動だと無理な体勢になったり、動きが一定にならなかったりして結構ストレスが溜まるものです。
そこで手の代わりにモーターで動かすタイプのものが出てきました。そこで使われるのがステッピングモーターです。パルスで回転角やスピードをコントロールするので、天体用には非常に都合がよいわけです。静止トルクもあるわけですし。
でも電気を結構食うのが難点です。たいていの人は車用のバッテリーを持って観測に行っています。乾電池だと一晩持つか持たないか危ないところです。また、スピードが遅いのも難点です。
このモータードライブに革命を起こしたのがミードという望遠鏡のメーカーです。ミードはシュミットカセグレンで有名ですが、ミードもかつてはステッピングモーターを使っていました。
基本はフォーク式赤道儀で、自動天体導入装置をつけて結構安価なのがうけていましたが、それが突然、DCモーター仕様で経緯台、かつ自動天体導入装置付きでリニューアルしたのです。
研究機関レベルの望遠鏡と同じような構造になったのですから、もう驚きです!当時の天文ファンは、近年あのセグウェイが発売されたどころの騒ぎではありませんでした。(セグウェイは前評判だけでしたねえ。)
DCモーターにすることで天体高速導入、低消費電力、駆動回路の簡易化が実現されたのです。それからのミードの快進撃はとどまることを知りませんでした。ライバルであるセレストロンまでもが、同じようなものを出してきたのです。いまではビクセンまでもが・・・。
さらに、回転位置検出のエンコーダも安価で性能がよいものが出てきたので、超精密追尾にもDCモーターが使われるようになってくるでしょう。
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