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蛍 昔の情景 

 

蛍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月になり、蛍の季節になりました。今でこそホタル、ホタルと騒がれていますが、20年以上も昔にはホタルはいて当たり前の虫でした。 

 

夜になり、縁台で夕涼みをしていると、どこからともなくゆ〜らゆ〜らとエメラルドグリーンの光を点滅させながら、庭を横切ってきたものです。

 

家は川から少々離れたところにあるのですが、それでも何匹ものホタルが飛んできました。見るだけでも楽しめるのですが、やはり捕まえてみたくなるのが人情です。

 

今では各地に蛍の捕獲を禁止する条例がありますが、昔はそんなものありません。たくさんいるのですから取り放題です。

 

田圃を横切り河原まで行くと、それこそ星の数ほど蛍が飛んでいます。素手で捕まえることも出来ますが、そこら辺に生えている草を束ねて振り回すと、草の間にホタルが挟まって簡単に取ることが出来ます。網なんか使いません。

 

ホタル草という草をかごに入れて、その中に捕った蛍を入れて持ち帰ります。そのかごの中の蛍の光で、懐中電灯なんか要らないくらいです。(ちょっと大げさかも。)

 

帰って蚊帳(かや)の中に放します。今では蚊帳なんか使っている家はないでしょうね。私も今は使っていません。クーラーのない昔、網戸にして蚊帳をつって寝ていました。真夏でも心地よい風が吹いて気持ちよく寝られます。私の家には今でもクーラーはないんですよ。なくても暮らしていけるものですね。

 

蚊帳の中ではほたるが乱舞しています。留まっているものが多いですが。その光を見ながら寝るのです。今思えば優雅で贅沢な寝入りですね。ところが、悲劇は翌朝起こるのです。

 

朝になり目が覚めて、昨日はすばらしかったと思いながら、辺りを見回すとホタルの死骸、死骸だらけです。かわいそうに、儚い命だったとさっさと片づけてしまいます。ホタルとは一夜限りの遊興というのがあたりまえでしたから・・・。

 

今はそういったことは出来なくなりました。ただ見て楽しむのみです。

 

 

(写真は蛍を撮ろうとしたものですが、露出不足で真っ暗です。)

 

 

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