私も実はスズメバチに刺されたことがあるのです。
痛いのなんのって!子供の頃なのでかなり昔になるのですが、あの痛さは忘れません。
ウソです。もうすっかり忘れてしまいました。かすかな記憶を辿ると・・・
そのとき私たちは村のお宮で『缶蹴り』をして遊んでいました。『缶蹴り』とは、鬼を一人決めて、決められた場所に空き缶をひとつおき、空き缶を逃げる役の人が蹴り、その缶を鬼が元の場所に立てるまでに、逃げる役の人が隠れるのです。鬼は一切手を使ってはいけません。
缶を立て終えたら鬼は隠れた人たちを探しに行きます。見つかったら鬼に捕獲されますが、仲間が鬼に見つからないように、鬼が立てた缶を蹴飛ばせば、またみんな開放され隠れることが出来るという、ほぼ終わりのない、鬼にとっては残酷な遊びです。
この遊びをすることになり、私はジャンケンで勝ち、隠れる役になったのです。何度か鬼に見つかり捕獲されましたが、その度ごとに仲間が助けに来てくれて逃げることが出来ました。
何度目かに逃げて隠れたとき、運悪くスズメバチの巣の近くに行ってしまったのでしょう。目の前に2匹のスズメバチが表れたのです。
このお宮にはいろんな虫が生息していて、スズメバチも住んでいました。このことは前から分かっていたのですが、誰も気にすることなく、スズメバチと共生していました。
ところがそのとき、私がその均衡を破ってしまったのです。スズメバチにしたらたまったものではありません。いきなり自分より大きな生き物が、巣の近くに突進してきたのですから。攻撃せざるを得ません。私がスズメバチだったとしても攻撃したでしょう。
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