サツマイモは蕎麦同様、救荒作物です。基本的に植えておくだけで収穫できます。
苗は、前の年取っておいた芋を使って育てます。芽を出させる芋を種芋といいます。種芋を土に植えておくと、いろんなところから芽が出てきます。
この芽をそのままツルになるまで伸ばします。このツル一本一本が苗になるのです。このツルを切り取って植えます。
植えるときは水をたっぷりやらないと根が伸びず、枯れることがあります。日照りが続くようなら、何日間かは水をやった方がよいでしょう。しかしもともと日照りには強い植物です。あまり神経質になる必要はありません。
いったん根が出てしっかりすると、もう安心です。後は収穫まで放っておきましょう。気になれば草取りをするとすっきりします。
サツマイモは捨てるところがありません。芋はもちろん、茎、葉っぱに至るまで食べることが出来ます。主におかゆに混ぜて食べます。
でもお年寄りの方は、戦時中を思い出すからと言って、あまり食べようとはしません。確かにあまりおいしいものではないので、戦争体験がなくても好んで食べようとは思いません。
でも芋だけのおかゆは、食べる価値ありです。何であんなに甘いんでしょうね。みそ汁に入れても、甘みでまろやかさが出て、口当たりがよくなります。天ぷらにしてもおやつ代わりになります。
『栗より甘い十三里』とはよく言ったものです。この言葉は祖母がよく言っていました。そのときは、栗よりもサツマイモの方がおいしいとは、うまいこと言うなあ、と思っていましたが、その意味を考えたことはありませんでした。
調べてみると、先人の洒落っ気には脱帽しました。「十三里」というのはサツマイモのことです。なぜ「十三里」というかというと、サツマイモの名産地である川越が、江戸から十三里だったことからついた名前だそうです。
そして栗は「九里」。よりは「四里」。九里と四里を足すと十三里。つまり『栗より甘い十三里』は『九里四里甘い十三里』とも書けるわけです。
山田君、座布団一枚!
ちなみに「甘い」は「うまい」と読むそうです。
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